水素を活用したBCP対策の可能性

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千葉県の台風被害におけるエネルギー供給の問題事例

今年9月9日(月)、台風15号は関東では過去最強クラスの勢力をともない、千葉市に上陸しました。関東各地や静岡県で停電や倒木が相次ぎ、特に、千葉県では停電や断水など大きな被害が出たことは記憶に新しいのではないでしょうか。

この大規模な停電で、にわかに注目を集めたのは、排ガスを出さず、電気をためて走る電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)です。

東京電力ホールディングスは9月16日、台風15号の被害により停電が続いている千葉県内の被災者支援に役立てるために、約40台の電気自動車(EV)を現地に追加派遣しました。「動く蓄電池」として各家屋を訪問し、電子機器の充電や照明の提供といった任務にあたる。」と報じられています。(時事通信ドットコムより)

電気自動車の蓄電池にためられた電気は、通常の場合は走行に使用されますが、「給電器」という装置を使えば、電化製品などに使う100ボルトの電気に変換でき、災害時のライフライン確保に活用することができます。

今回の停電に対して貸し出された車種は日産の電気自動車(EV)に加え、三菱自動車のプラグインハイブリッド車(PHV)などであり、トヨタ自動車はPHVや水素で発電する燃料電池車(FCV)を提供。ホンダは給電器を貸し出した。

水素(燃料電池)を活用したBCP対策のイメージ

今回の千葉県における停電の例を見てわかるように、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)を、非常事態に備えるためにも、ぜひ自治体や企業などで、BCP対策として検討していただきたいとことです。

BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した際に、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことを指します。

まず、緊急時に事業を継続するためには、電力の供給が不可欠です。

電気自動車(EV)・燃料電池自動車(FCV)の中には、移動可能な電源として外部に給電できるものがあり、例えば、EVのバッテリー容量が40kWhの場合、一般家庭の消費電力の3、4日分の電力を供給することができます。また、FCVには電力量60kWh相当の水素を蓄えることができるが、この量は一般家庭の消費電力量の約6日分に相当します。
災害時に停電となった場合は、EV・FCVのこうした高容量の電力供給能力により、色々な電気製品を動かすことが可能となります。

公共施設での導入の事例

電気自動車(EV)では電気、燃料電池自動車(FCV)では水素をそれぞれ、車に充填する設備が不可欠です。
電気を給電するスポットは比較的容易に設置できるが、燃料電池自動車の普及には水素ステーションのインフラ設備が欠かせません。現在、日本には水素ステーションが100ヶ所近く存在しています。
(燃料電池実用化推進協議会HPより)

まだまだ、燃料電池自動車で日本中を走るには水素ステーションは少ないですが、ある地域のBCP対策としては大変有効な策となります。
水素を発生させるための電力を太陽光、風力、水力などの再生可能エネルギーでまかなう水素ステーションなどもあり、こういった設備を備えていれば、BCP対策の設備として、十分に要件を満たしていることになるのです。

公共施設での導入イメージ

大規模災害の際に、まず公共施設に安定した電力を供給することが必須ですが、災害の際には、病院に多くの被災者が駆けつけることが想定されます。

2017年10月に、学校法人愛知医科大学で南海トラフ地震を想定した総合防災訓練が行われました。ここでは、Hondaの「クラリティ FUEL CELL」と「Power Exporter 9000」が電源を提供するため駆けつけたという設定です。
南海トラフ地震での災害医療を研究しており、外部給電を要請した愛知医科大学災害医療研究センターの小澤和弘講師は「災害時には電源の確保が大きな課題。建物は免震構造でも、電力供給がないと給水や通信回線が使用できなくなるので、病院機能の維持のためには複数の電源確保が急務。その点で、平時は乗用車として活用し、有事は走る電源になる「クラリティ FUEL CELL」と「Power Exporter 9000」のコンビは頼もしく、多くの医療関係者に知ってほしい」と外部給電への期待を語りました

また、毎年台風の来襲が多い宮古島では、空港に燃料電池自動車を3台導入し、水素ステーションとソーラー発電システムを組み合わせて、台風等災害時のエネルギー供給の安定化、エネルギー地産地消の実現は宮古島住民の期待に応えようとしています。また、エコアイランドをコンセプトに掲げる宮古島は、島を挙げてCO2低減、地球温暖化防止に取り組んでいます。

まとめ

病院、空港など、公共性の高い施設での取り組みを見てきましたが、実際に燃料電池自動車(FCV)をPCB対策に取り入れるのは、民間よりまずは公共機関でしょう。
インフラの普及も含めて、日本はまずは、災害大国であることを自覚して、国を挙げてこれらの対策に取り組む必要が急務です。

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